私ども日本冷却器工業会は、1973年(昭和48年)10月18日、わが国の当時現存した冷却器・熱交換器を製造する専業および大手電機総合メーカのうちで、空調機あるいは低温産業冷熱機器の製造に関与したメーカ総勢約30数社が相寄り、加えて、ユニットクーラ等には必携の圧力扇・送風機、あるいは除霜用電気ヒータなどデフロスト関連部材、冷媒導管として重要使命を担う銅管、あるいは熱交換効率を高めるプレートフィン材料であるアルミニウム、ステンレス、銅の各条(板)などのメーカ・問屋などが参集して「日本冷却器工業会」を設立したものであります。
振りかえれば、当時はすでに戦後30年近くを経過するなかにあっても、わが国の産業界にはそれぞれの企業がひたすら“発展”の努力を続けてきたことは疑う余地もありませんが、その実、一部産業界では“業界組織を構築”したことも事実です。
しかし多くの業界、とりわけ中小企業規模で構成する「業界」での実態は、むしろ“しっかりした業界組織の構築を模索”し続けていたといっても過言ではありません。
私たち冷却器・熱交換器業界が深く関わりをもつ低温冷熱産業、あるいは空調産業においても需要は拡大を続けながら、一方で製品に対する理論的、技術的な裏付けを確立する以前に、お客さまからの注文、需要にお応えするのが先立っていた、というのも現実として経験をしてきたところです。
こうしたなかにあって「日本冷却器工業会」を設立しようとした最大の「動機」は、冷却器・熱交換器における最大のテーマとしての「熱交換効率の向上」であり、これを理論的に検討し体系づけることによって、お客さまに名実ともに安心してご対応・ご採用いただける冷却能力や性能等を私たちメーカが自信をもって保証し、新技術をご提案できる体制を整えることにありました。
現在、冷却器・熱交換器業界は空調や低温冷熱設備・システムの多様化に加え、例えば食品ひとつをとっても「安全の絶対確保」はいかなることがあっても曲げることが全く不可能であり、さらには一層の省エネルギーの追求、環境問題への対応など、課題が山積していることも事実です。
同時に私たち“業界を形成する者”にとっては、さらなる「付加価値製品」の開発とともに、市場においては「ニューマーケットの開拓」も大きなテーマとするところであります。いま、私たちはテーマひとつひとつに真摯に取り組み「輝かしい明日」を描いて精進を続けているところであります。
日本冷却器工業会
会長 原 正憲